インフレと景気後退
投資テーマ
高いボラティリティに備える
マクロと市場のボラティリティが高まるレジームに突入しました。このことは、市場の見方をより迅速かつ精緻に変化させる必要があることを示唆しています。
インフレとの共存
FRBは最終的には、利上げが成長と雇用に与える影響を見極めながら、インフレの上昇と共存していくとみています。今のところ、FRBはインフレ抑制にのみ対処しているように思われます。そのため、ポートフォリオのリスクを減らしています。
ネットゼロへ向けたのポジショニングの構築
炭素排出量の多い企業の中で、信頼できる移行計画を持つ、もしくは移行の鍵を握る企業に投資することは、投資家に移行へのエクスポージャーを与えると同時に、平坦ではない移行の道のりの影響が軽減する可能性があります。
BII Q4 outlookの詳細を読む
ボラティリティが高い新たなレジームが展開
7-9月期は「グレート・モデレーション」の終焉と、経済と市場のボラティリティが高まる新たなレジームに焦点を当てることとなりました。市場は、政策当局が直面すしている経済成長とインフレのトレードオフの悪化と向き合っています。
英国は今回のトレードオフの震源地であり、政府の財政支出は国内資産の暴落を引き起こし、英中銀が介入して債券市場を安定させることを余儀なくされました。経済がソフトランディングする見込みはほとんどなく、また成長率に大きな打撃を与えることなくインフレ率が目標値まで急速に低下することもないと思われます。
中央銀行は当面の間、政策を過度に引き締め、それは経済への打撃をもたらし金融安定化リスクが高まると思われますが、株式市場はまだそれを十分に認識していない可能性があります。ブラックロックは、戦術的な観点から先進国株式のアンダーウエイトを維持し、質の高いクレジットを選好します。
インフレ抑制は深刻な景気後退を意味します
米国のGDPと生産能力:2019-2024年
"出所: BII、BEA、データはHaver Analytics。2022年8月時点。
注記: グラフは、実質GDPで測定した経済需要(オレンジ色)と、新型コロナ以前の経済成長トレンド予測(ピンク色)を示しています。緑色の点線は、現在の生産能力の推定値。コアPCEインフレ率が連邦準備理事会のインフレ目標値2%をどの程度上回っているかから推定。
インフレ率を2%目標まで下げることは、重大な経済的打撃を意味するとブラックロックは考えています。それは先進国には生産能力に制約があるためです。先進国の労働市場と個人消費のパターンが完全に正常化されていません。その結果、特にサービス業において需要と供給のミスマッチが起きていると考えます。
この不均衡がインフレ圧力の根源であると考えています。こうした背景のもとでは、インフレを抑制する唯一の方法は需要を破壊することです。
中央銀行は金利を引き上げていますが、インフレを早期に低下させるために必要な損害の大きさを十分に認識していないと考えます。生産能力と経済成長のギャップを埋めるためには、米国においてさらに300万人の失業者が発生し、GDPが2%近く減少する必要があるとブラックロックは試算しています。
欧州では、エネルギー・ショックがこうした力学を増幅させます。欧州では2022年に深刻な景気後退に陥るとみています。米国は2023年初めに緩やかな景気後退になるでしょう。中国では、輸出の減速と新型コロナに伴うロックダウンが長引き、経済活動の重荷になっています。政策当局が大規模な景気刺激策に慎重で、政策による支援は比較的抑制的となることが見込まれるため、中国の経済成長が今回世界経済を救う可能性は低いことを示唆しています。
リスクテイクを抑制する
株式は、マクロ見通しの悪化を織り込み始めたばかりだと考えています。景気後退リスクと金利上昇のコンビネーションをまだ十分に反映しておらず、株式の下落余地はまだあるとみています。2022年と2023年の市場予想ベースの収益予想は、経済成長を前提としており依然楽観的すぎると思われます。
ドル高が止まらないのは、リスク選好が揺らいでいる表れであり、世界的に金融環境がタイトになっています。クレジット、特に投資適格債のバリュエーションは相対的に魅力があり、企業のバランスシートは比較的健全であるため、株式よりもクジレットの方が景気後退を乗り切るのに有利な立場にあると考えます。
先進国債券、特に長期債のアンダーウエイトを継続します。これは、高水準の債務と持続的なインフレを背景に、タームプレミアム(債券を保有する期間に対する投資家の対価)が上昇するとみているためです。この広範囲にわたるアンダーウエイトの中で、高い利回りによる収益性を考慮し、短期債を選好します。インフレ率低下に対する市場の期待は行き過ぎている可能性があるため、インフレ連動債のオーバーウェイトを継続します。
投資見通し
ポートフォリオがより迅速に変化する必要があるとブラックロックは確信を持っています。例えば、株式やクレジットについては、インフレ率が目標を上回ったままであるため、中央銀行が政策によるブレーキを踏み込めば、より一層慎重になる可能性があります。また、ユーロ建ての資産クラスに関する見通しを紹介します。
市場見通し
幅広い資産クラスに関する戦略的(長期)ならびに戦術的(6~12カ月)見通し:2022年10月
資産 | 戦略的見通し | 戦術的見通し | コメント |
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株式 | 戦略的観点から、株式をオーバーウェイト。リスクプレミアムの上昇に加え、マクロ環境の悪化とそれに伴う期待リターンの低下を反映している。中央銀行は最終的には一定のインフレと共存し、短期的なリスクを見過ごすとみている。 戦術的な観点からは、中央銀行が政策を過剰に引き締め、経済活動が滞ると考えられるため、先進国株式をアンダーウ エイトに変更した。歴史的に高水準にある企業の利益率は、投入コスト上昇リスクにさらされている。 | ||
クレジット | 戦略的な観点からは、ハイ・イールドからグローバル投資適格まで、クレジットをオーバーウエイトしている。スプレッドの拡大と国債利回りの上昇が期待リターンを押し上げる一方で、デフォルトリスクは抑制されていると考えている。さらに、インカムのポテンシャルも魅力的である。戦術的な観点では、投資適格債をオーバーウェイトとし、ハイ・イールドを中立とする。質 の 高 いもの選好する 。現地通貨建てのEM債券は魅力的なバリュエーションであるため、オーバーウェイトとする。リスクプレミアムが大きく、インフレリスクを埋め合わせると考えている。 | ||
国債 | 戦略的な見通しは、小幅なアンダーウエイトであり、大きなスプレッ ドを反映している:名目債を最もアンダーウエイト、インフレ連動をオーバーウエイト、中国債券をアンダーウエイト。5年後の名目債の利回りは現在の水準より大幅に高くなるとみている。こうしたリプライシングは、期待リターンに対するバリュエーション上の足かせとなろう。また、市場は高い水準のインフレが根強く残ることを過小評価していると思われる。戦術的には、2022年に利回りが急上昇したとしても、長期債の利回りはさらに上昇すると見ているため、アンダーウエイト。 | ||
プライベート市場 | - | ブラックロックは、多くの適格投資家が保有するよりもはるかに大きな配分をベースラインとしつつも、プライベートのグロース資産をアンダーウェイトし、プライベート・クレジットを中立。プライベート資産は、マクロや市場のボラティリティや金利の上昇を免れることはできず、公開市場の暴落によって相対的な魅力が低下している。プライベート資産への配分は長期的なコミットメントであり、時間の経過とともに資産の価格が見直されるため、投資機会があると考えます。プライベート市場は複雑な資産クラスであり、すべての投資家に適してはいない。 |
注記:上記の見通しは米ドルベースです。2022年9月時点。当資料は特定の時点における市場環境の評価を示すものであり、将来の出来事の予想または将来の成果の保証を意図したものではありません。読者は当資料中の情報に、特定のファンド、戦略あるいは証券に関するリサーチまたは投資アドバイスとして依拠すべきではありません。
各資産の戦術的見通し
各資産クラスの6~12カ月の戦術的見通しと確信の度合いに基づく世界の資産クラス全体に対する見方:2022年10月
資産 | 戦術的見通し | コメント | ||
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株式 | ||||
先進国 | 先進国株式について、マクロ環境の悪化とコスト増による企業の利益率へのリスクを理由に、アンダーウエイトに引き下げた。中央銀行は成長率を押し下げることでインフレを抑制しようと考えているとみられ、コロナ後の活動再開が頓挫するリスクが高まっている。 | |||
米国 | 米国株式をアンダーウェイト。FRBは利上げを景気抑制的な領域まで引き上げる意向があると考える。年初来の株価下落はこのことを一部反映している。ただ、バリュエーションは企業収益の悪化を反映するほどには低下していない。 | |||
欧州 | 欧州の株式をアンダーウェイト。ウクライナの悲惨な戦争の余波による新たなエネルギー価格ショックで、スタグフレーションのリスクにさらされていると考える。 | |||
英国 | 英国株式をアンダーウェイト。エネルギーセクターへの高いエクスポージャーのおかげで、他の先進国市場に対して堅調なパフォーマンスを示していると考えている。 | |||
日本 | 日本株は中立。金融緩和の継続と配当の増額を評価。世界経済の成長鈍化はリスクと考える。 | |||
中国 | 中国株は中立とする。中国の経済活動は再開されつつあるが、2022年の経済成長率は公式目標を下回るとみている。中国とロシアの関係をめぐる地政学的な懸念は、リスクプレミアムの上昇を求めると考える。 | |||
新興国市場 | 新興国の株式は中立とする。世界的な成長の鈍化が背景。資産クラスでは、コモディティ輸入国より輸出国を選好する。 | |||
アジア(除く日本) | 日本以外のアジア株式は中立。中国の短期的な景気回復はプラス材料だが、オーバーウェイトに転じるほど魅力的なバリュエーションとは考えていない。 | |||
債券 | ||||
米国債 | 米国債は利回りが急上昇しているが、アンダーウエイト。投資家がより高いタームプレミアムを要求しているため、長期債の利回りはさらに上昇するとみている。その代わりに、短期債を選好し、イールドカーブのスティープ化を予想する。 | |||
グローバル物価連動国債 | 世界の物価連動国債をオーバーウェイトしており、現在は欧州を選好している。市場はエネルギーショックによるインフレ圧力を過小評価していることを示唆していると考える。 | |||
欧州国債 | 欧州の国債は中立とする。ユーロ圏の利上げに対する市場の見方はタカ派的すぎると考えている。 | |||
英国債 | 英国債をアンダーウエイト。英中銀はインフレ抑制のために利上げを行う必要があると考える。タームプレミアムの上昇により、長期債の利回りが上昇すると見ている。 | |||
中国国債 | 中国国債は中立とする。政策当局が景気減速を補う緩和的な政策の導入に遅れをとっており、利回りはもは先進国国債と比較して魅力的ではないと考える。 | |||
グローバル投資適格債 | 投資適格社債をオーバーウエイト。高格付け企業の強固なバランスシートは、株式との比較でクレジットの方が弱い成長見通しを乗り切れる可能性を示唆している。 | |||
グローバル・ハイイールド | ハイイールド債は中立とする。マクロ環境が悪化する中、質の高いクレジットへのエクスポージャーを選好。ただ中には、魅力的なインカムを提供する銘柄が一部あると思われる。 | |||
新興市場(ドル建) | 新興国債(ドル建)を中立とする。コモディティ価格の上昇が債券を下支えすると考えているが、米国債券の利回り上昇には引き続き脆弱とみている。 | |||
新興市場(現地通貨建) | 魅力的なバリュエーションと潜在的なインカムを理由に、現地通貨建のEM債券を小幅にオーバーウェイト。利回りの上昇はすでに新興国の金融引き締めを反映しており、インフレリスクを埋め合わせる手段を提供していると考える。 | |||
アジア債券 | マクロの見通しが悪化する中、アジアの債券を中立。この資産クラスに対してポジティブになれるほど、バリュエーションに説得力があるとはまだ考えていない。 |
マクロの見通しが悪化する中、アジアの債券を中立とする。この資産クラスに対してポジティブな見方に転じるほどには、バリュエーションはまだ魅力的ではないと考えている。
ユーロ建資産の戦術的見通し
各資産クラスの6~12カ月の戦術的見通しと確信の度合いに基づく世界の資産クラス全体に対する見方:2022年10月
資産 | 戦術的見通し | コメント | ||
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株式 | ||||
欧州(英国除く) | ブラックロックは欧州株式をアンダーウエイト。コンセンサスに基づく収益予想が、深刻な景気後退のリスクの高まりを織り込んでいないと考える。エネルギー価格ショックだけでもユーロ圏の成長率に大きな打撃を与えるとみている。欧州中央銀行は金利を引き上げてインフレを抑制しようと考えていますが、経済活動の足かせになるおそれがある。 | |||
ドイツ | ドイツ株は中立。バリュエーションは他に比べて良好だが、ガス供給の逼迫、ECBによる急速な引き締め、主要貿易相手国の成長鈍化を背景に、企業の収益見通しに対する短期的な逆風は依然大きいと考える。先を見据えると、経済をネットゼロにする政治的な意欲が強く投資機会が生まれるとみている。 | |||
フランス | フランス株をアンダーウェイト。エネルギー構成は良好であり、株式市場もエネルギー関連にティルトしているため、インフレ率の上昇に対してポートフォリオを守るサポートにつながると思われる。しかし、電力料金の高騰は、政策による緩和にもかかわらず、企業の利益率を圧迫。また、構造改革のペースは、議会選挙を経て減速するとみている。 | |||
イタリア | イタリア株をアンダーウエイト。世界的に金融引き締めが進む中、経済の信用ファンダメンタルズは相対的に弱いため、慎重なスタンスをとる。 | |||
スペイン | スペイン株をアンダーウエイト。2022年には、主に金利に敏感な金融セクターに牽引され、アウトパフォームしたが、成長鈍化による地域的な景気後退の中で利益確定売りの影響を受けやすいとみている。 | |||
スイス | スイス株式は中立。代表的な株式指数は、ヘルスケアと消費財のセクターウエイトが高いディフェンシブな構成となっており、世界のマクロ見通しの不確実性が高まる中、クッションの役割を担っていると考える。 | |||
英国 | 英国株式をアンダーウェイト。英中銀が明確に認めているように、英国の経済成長は急激に減速しており、市場の業績予想にはまだ反映されていないとみている。英国市場は、エネルギーセクターへのエクスポージャーから2022年 には他の先進国をアウトパフォームしたが、世界的な景気後退の影響を免れることはできないと考える。 | |||
債券 | ||||
ユーロ圏国債 | 欧州国債の名目利付債は中立。景気後退が迫っており、ECBの政策に対する市場の見方はタカ派的すぎると思われます。ECBの資 産 購 入 の 終 了 、財 政 支 援に向けた新発債の発行が見込まれること 、イ ン フ レ 率 の 高 止まりを理由に引き続き慎重なスタンスをとり 、イ ン フ レ 連 動 債 を選好。 | |||
ドイツ国債 | ドイツ国債は中立。景気後退リスクが高まっているにもかかわらずECBの政策にタカ派スタンスが見込まれていること、総合インフレ率の上昇(ピークアウトの可能性も)、地政学的な不確実性が残っていることから、利回りに対するさらなる上昇圧力は限られていると思われる。 | |||
フランス国債 | フランス国債は中立。景気後退が近づく中、ECBの政策期待がタカ派的すぎるように思われる。フランスの債務の増加や構造改革ペースの遅れは引き続き逆風となるとみている。 | |||
イタリア国債 | イタリア国債を小幅にアンダーウエイトしている。2022年に入りスプレッドはすでに拡大しているが、信用力の 低下、世界的な金融引き締め、長引く政治的不透明感などを踏まえて、引き続き慎重な姿勢で臨む。ECBの伝送保護手段(債券購入スキーム)は最後の手段として機能する。 | |||
スイス国債 | スイス債券を中立とします。スイス国立銀行は、フランが高値で推移しているにもかかわらず、政策金利を速やかにプラス圏に移行させました。しかし、不透明感が残り、インフレ圧力が比較的緩やかであることから、利回りへのさらなる上昇圧力は限定的と思われる。 | |||
英国債 | 英国債をアンダーウエイト。英中銀はインフレ抑制のために利上げを行う必要があると考える。タームプレミアムの上昇により、長期債の利回りが上昇すると見ている。 | |||
欧州インフレ連動国債 | 欧州のインフレ連動国債をオーバーウェイトしているのは、インフレが持続し、ECBが最終的にインフレ率の上昇と共存すると考えているからです。ロシアの化石燃料からの脱却は、中期的にエネルギーインフレを高止まりさせる可能性が高い。ロシアがガス供給を停止すれば、短期的な影響はさらに深刻になるとみている。 | |||
欧州投資適格債 | 投資適格社債をオーバーウェイト。全体的な利回りと対国債スプレッドの両面から、バリュエーションは魅力的であると考えます。クーポン収入は過去約10年で最高水準にある。 | |||
欧州ハイイールド | ハイ・イールド債券は中立とする。マクロ環境が悪化する中、インカムのポテンシャルに魅力を感じつつも、質の高いクレジットエクスポージャーを選好している。 |
過去の実績は、現在または将来の結果を示す信頼できる指標ではありません。インデックスに直接投資することはできません。
注記:2022年10月時点におけるユーロ建資産の立場での見解です。本資料は、特定の時点における市場環境を評価したものであり、将来の成果を予測・保証するものではありません。本資料は、特定のファンド、戦略、証券に関する投資アドバイスとして依拠されるものではありません。
中央銀行は、景気後退の可能性が高いにもかかわらず、政策金利を引き上げている。
中央銀行がインフレを早期に低下させることに重点を置いていることは、明確な順序を意味している。
最初に金融引き締めを強化し、次に経済に大きな打撃を与え、そして何ヶ月も経ってはじめてインフレ緩和の兆しがみえるでしょう。
政策金利の経路と市場による政策金利のプライシング、2022年
出所:BII、S&P、Refinitiv、 Datastreamのデータを使用、2022年9月時点。
注記:グラフは、フォワードレートの翌日物指数先物スワップによる中央銀行の政策金利の予想プライシングを示している。表示されているレートは、1年物OISの水準である。
経済活動の縮小とエネルギーショックが景気後退のシグナルとなる
景気後退が到来します。ヨーロッパはエネルギー高騰の影響を受けやすいため 深刻な景気後退に陥るでしょう。ただ、米国の景気後退は、インフレ率をFRBの目標値である2%まで低下させるまでに深く陥らないとブラックロックは考えています。
出所:BII、S&P、 Refinitiv、Datastream 、BP Statistical Review of World Energy 2021、Haver Analyticsのデータ、2022年9月時点。
注記: 左のグラフはS&P製造業生産購買担当者指数で、数値が50を下回ると活動が縮小していることを示します。右図は、EUと米国における石油、ガス、石炭の消費コストを対GDP比で表したものです。地域別のエネルギー価格を使用し、米ドル建てGDPで割ったものです。2022年のデータは、以下のものに基づいています。IMFの最新のGDP予測
と日次の商品価格の前年まで含む平均値に基づいています。
株式はマクロ見通しの悪化を織り込み始めたばかり
株式は、景気後退リスクと金利上昇の組み合わせをまだ十分に反映していないため、さらに下落する余地があると考えています。
S&P500指数 vs将来の米国の政策金利の市場価格との比較:年初来
過去のパフォーマンスは、現在または将来の結果を示す信頼できる指標ではありません。指数は運用されておらず、手数料が考慮されていませんん。また、指数に直接投資することはできません。
出所:BII、Refinitiv、Datastreamのデータを使用 , 2022年9月時点。注記:グラフは、市場が予想する中央銀行の政策金利の水準をフォワードOIS(オーバーナイト・インデックス・スワップ)を通じて示したものです。表示されているのは、1年後に取引開始されると予想される1年物OISです。
見通し変更の際に考慮するポイント
ボラティリティが上昇する局面では、ポートフォリオがより迅速に変化する必要があると確信しています。ブラックロックの見方を戦術的に変更させる可能性のある要因を整理しました。
ポジティブ | ||||
資産 | 見通しを変更する際に注目しているポイント | |||
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株式とクレジット |
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国債 | インフレ期待が十分に固定されている、もしくは利回りがポートフォリオ全体から見て魅力的な水準に達する中で「ハト派的」なスタンスが確認されること。 | |||
インフレ連動債 | 供給主導のインフレが後退せず、財のインフレは高止まりする一方、サービス業のインフレが回復すること。 | |||
ネガティブ | ||||
資産 | 見通しを変更する際に注目しているポイント | |||
株式とクレジット | 中央銀行が深刻な景気後退に直面しても利上げを継続すること。企業業績の悪化が戦術的な時間軸を越えて長期に続くこと。 | |||
国債 | インフレ期待が固定されないこと。 | |||
インフレ連動債 | 景気が後退しインフレが低下すること。 |
出所:BII、2022年10月時点。
注記: 記載事項は特定の時点における市場環境を評価したものであり、将来の事象を予測し、将来の結果を保証するものではありません。また、特定のファンド、戦略、証券に関するリサーチや投資アドバイスとして読者に依拠されるものではありません。
重要事項
当レポートの記載内容は、ブラックロック・グループ(以下、ブラックロック)が作成した英語版レポートを、ブラックロック・ジャパン株式会社(以下、弊社)が翻訳・編集したものです。また当資料でご紹介する各資産の見通し(米ドル建て)は、米国人投資家などおもに米ドル建てで投資を行う投資家のための見通しとしてブラックロック・グループが作成したものであり、本邦投資家など日本円建てで投資を行う投資家の皆様を対象とした見通しではありません。 記載内容は、米ドル建て投資家を対象とした市場見通しの一例として、あくまでご参考情報としてご紹介することを目的とするものであり、特定の金融商品取引の勧誘を目的とするものではなく、また本邦投資家の皆様の知識、経験、リスク許容度、財産の状況及び金融商品取引契約を締結する目的等を勘案したものではありません。記載内容はブラックロック及び弊社が信頼できると判断した資料・データ等により作成しましたが、その正確性および完全性について保証するものではありません。各種情報は過去のもの又は見通しであり、今後の運用成果を保証するものではなく、本情報を利用したことによって生じた損失等についてブラックロック及び弊社はその責任を負うものではありません。記載内容の市況や見通しは作成日現在のブラックロックの見解であり、今後の経済動向や市場環境の変化、あるいは金融取引手法の多様化に伴う変化に対応し予告なく変更される可能性があります。またブラックロックの見解、あるいはブラックロックが設定・運用するファンドにおける投資判断と必ずしも一致するものではありません。
MKTGM0624A/S-3655402