不透明な市場環境を乗り切るために
投資の原則
不確実性を乗り切るには規律をもった行動が必要ですが、言うは易く行うは難し。長きにわたって自分の投資を管理することは、意志の力が試されます。あなたの感情や直感は、投資目標が遠くにあるにもかかわらず、短期的なニュースや市場の動きに反応するよう促すでしょう。
ただ、シンプルなルールを守ることで、将来何が起きても大丈夫なように備えることはできます。直近の市場やマクロ経済がもたらすショックにより、あなたの決意は試されているかもしれません。しかし、次の原則に従うことで、あなたの投資は、不確実な市場をよりよく乗り切ることができるでしょう。
Instinct(直観)ではなくInsight(熟慮)に基づいて行動する
市場は、起きたイベントにかならずしも合理的に反応するわけではありません。市場が存在する限り、資産価格のバブルと暴落のサイクルは、その側面の一つです。
その理由は明らかです。投資家は人間であり、慎重に考えるよりも感情的なバイアスに投資判断が左右されることが多いからです。ほとんどの投資家は「安く買って高く売る」という理屈を理解していますが、多くの人はそれを実践せず、最終的なリターンが同じであっても、潜在的な利益を逃すよりも損失を恐れる傾向があります。
つまり、追加の損失をおそれて、相場の底で市場から退場するよう直感が行動を促すかもしれません。しかし、そうすると、安値で売り抜けることになり、最も価値のある機会を逃す可能性があります。
TOPIXに1000万円投資した場合の変化, 2012 - 2022
出所:bloomberg 2022年5月31日時点。2012年5月末を1000として標準化. 指数のリターンは例示のみを目的としています。指数のパフォーマンスには、運用報酬、取引コスト、経費は反映されていません。指数は運用されておらず、指数に直接投資することはできません。過去のパフォーマンスは将来の結果を保証するものではありません。
リスクとうまく付き合うために分散する
さまざまな種類の資産が同時に値上がりする(あるいは値下がりする)わけではありません。異なる資産に分けて投資することで、長期的にリターンを安定化させる効果が期待できます。
市場にストレスがかかっているとき、資産価格は同じ方向に動く傾向があります。これは、さらなる損失を避けるために売却したいという人類共通の衝動によるものです。そのため、不動産、非伝統的な投資ファンドなどのオルタナティブ資産を含む、さまざまな資産に投資することが、市場のストレスに対処する上で重要だと考えます。
特定の資産クラスの年間パフォーマンス
2012年~2021年の年間騰落率。
出所:ブルームバーグおよび各指数算出会社。各資産として使用した指数は次の通り。
国内債券:NOMURA-BPI総合、先進国債券:2017年12月まではFTSE世界国債インデックス(除く日本、円換算ベース)2018年1月からはFTSE世界国債インデックス(除く日本、国内投信用円ベース)、ハイイールド債券:iBoxx米ドル建てリキッド・ハイイールド・キャップト指数(円換算ベース)、新興国債券:J.P.モルガン・ガバメント・ボンド・インデックス-エマージング・マーケッツ・グローバル・ディバーシファイド(円換算ベース)、国内株式:日経平均株価(日経225)、先進国株式:MSCIコクサイ指数(円換算ベース)、新興国株式:MSCIエマージング・マーケッツ・インデックス(円換算ベース)、国内リート:S&P J-REIT指数(配当込み)、先進国リート:S&P先進国REIT指数(除く日本、税引後配当込み、円換算ベース)。なお、円換算ベースの算出においては、三菱UFJ銀行公示仲値を用いて円換算しています。
規律ある投資
感情を克服し、短期的に売買する誘惑から免れる方法のひとつは、定期的に、通常は月に一度、決められた金額を投資に確保することです。こうすることで、効果的に予算を組み立てることができます。さらに、価格が低いときに多く買い、価格が高いときに少なく買うことになるので、価格変動の影響を和らげることができます。つまり、その場しのぎで飛びついたり、一括投資するよりもリターンが良くなる可能性が高いのです。
この「ドルコスト平均法」の利点は、次のような例で見ると理解しやすいでしょう。株式に毎月少額ずつ投資する投資家は、株価が下落したときに、1株当たりの平均買付コストが低くなるため、その恩恵を得ることができます。
※期初よりも株価が上昇した場合には平均買付コストは高くなります。
戦略1:株価に関係なく毎月10万円を1年間計画的に投資する
戦略2:120万円を年初に一括で投資する
出所: ブラックロック 。
提供する情報は例示を目的としており、特定の投資のパフォーマンスを示すものではありません。一定額を定期的に投資する手法は利益を保証するものではなく、下落相場での損失を防ぐものではありません。投資家はあらゆる市場環境において定期的な支払いが可能かを検討する必要があります。投資は元本が割れるリスクがあります。
重要事項
当レポートの記載内容は、ブラックロック・グループ(以下、ブラックロック)が作成した英語版レポートを、ブラックロック・ジャパン株式会社(以下、弊社)が翻訳・編集したものです。また当資料でご紹介する各資産の見通し(米ドル建て)は、米国人投資家などおもに米ドル建てで投資を行う投資家のための見通しとしてブラックロック・グループが作成したものであり、本邦投資家など日本円建てで投資を行う投資家の皆様を対象とした見通しではありません。 記載内容は、米ドル建て投資家を対象とした市場見通しの一例として、あくまでご参考情報としてご紹介することを目的とするものであり、特定の金融商品取引の勧誘を目的とするものではなく、また本邦投資家の皆様の知識、経験、リスク許容度、財産の状況及び金融商品取引契約を締結する目的等を勘案したものではありません。記載内容はブラックロック及び弊社が信頼できると判断した資料・データ等により作成しましたが、その正確性および完全性について保証するものではありません。各種情報は過去のもの又は見通しであり、今後の運用成果を保証するものではなく、本情報を利用したことによって生じた損失等についてブラックロック及び弊社はその責任を負うものではありません。記載内容の市況や見通しは作成日現在のブラックロックの見解であり、今後の経済動向や市場環境の変化、あるいは金融取引手法の多様化に伴う変化に対応し予告なく変更される可能性があります。またブラックロックの見解、あるいはブラックロックが設定・運用するファンドにおける投資判断と必ずしも一致するものではありません。
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